三宅乱丈『pet』感想 間違いのない名作!(後半はネタバレ注意)

三宅乱丈『pet』オススメ本のtips

2020年1月開始アニメで、第1話からものすごい引力で惹きつけられた作品があります。
三宅乱丈さん原作の『pet』です。

アニメを数話観た時点で耐えきれず、原作に手を出しました。
5冊で完結している感じなのでありがたい。
読み進めながら、「私はなぜ今までこの作品に出会っていなかったんだっけ……?」と、何度も自問しました。
今まで、なんてもったいない事をしていたんだ?!

ぜひ全人類に読んで欲しい、と強く思ったので、ブログにしました。

1、三宅乱丈『pet』あらすじ

人の心には、「ヤマ」と「タニ」という場所がある。ヤマは、人格の核になるような記憶・景色。タニは、人格を破壊するようなトラウマで形成された景色だ。
自分で自分の記憶を作ることができず、しかし感応力の高さから周囲のタニに引きずられ、自我の保てない体質を持った人間たちがいた。彼らは心にダイレクトに触れてもらうことで他者の「ヤマ」を分たれ、そうして人としての思考や人格を得ることができるようになった。「ヤマ」を分け与えた側はヤマ親と呼ばれ、ヤマを与えられたものからは絶対の信頼と愛情を得る様になる。
ヤマを与えられた側は、その危険なまでの盲目的信頼の寄せ方を揶揄され「ペット」と呼ばれる様になった。
彼らは人格同様、それぞれの「イメージ」という能力をも形成することができるようになった。他者の心に入り込み、記憶を書き換えたり、心からその人物を「潰す」ことができるような力だ。
彼らは「会社」に囲われ、生きるため日々「仕事」にいそしむが……

……というのが、三宅乱丈『pet』のあらすじです。
複雑……書くのも難しかったです。
つまり、読むのも簡単ではないかもしれないのですが、そういう「難しい」を軽々とこえて、圧倒的筆力とエモーションへの揺さぶりで読ませてくれるので、まぁ、安心してください。
安心して、買って読んでくれ。

 

2、三宅乱丈『pet』のここがすごい!

絵が独特で、強い。

作画に癖はあると思います。かなり。
でも慣れるし、表情から伝わる切実さがすごいです。そしてとっても華やか。
トラウマや「人生で最高・最良の出来事」が、現実感のないファンタジックさを通して「リアルに」描かれていて、この矛盾を成立させています。
すごいぞ。

構成に痺れる。構成に感動した!

構成があまりにも見事。
ストーリーの流れとしては綺麗に「起承転結」になっているのですが、この内実がすごいです。
起承転結であると同時に、完全なる「入子構造」になっています。

起→承→転→結1(承で描かれていたものの帰結)→結2(起で描かれていたものの応え)→結(超変形かつ”続き”を垣間見せるもの)
という感じ。

「承」で起きた事態が、そのまま逆再生のように返ってきて、ひとつの帰結を得て、ラストに繋がる。
「起」で示され投げかけられていたもの、描かれていたものが、大団円的な「結」になっている。
描かれてきたこと、読者が読んできたことへの、限りなく誠実な応答が、作品内で行われています。
すごいです。

3、コミカルな表情が本当にコミカルで、笑えてしまってビビる。

このクソ重い設定と展開に、稀に挟まれるコミカルな描写。
そこで描かれている表情が本当にコミカルでびっくりします。
三宅乱丈作品は、アニメ化をきっかけに読むことになったこの『pet』と、『pet』があまりにおもしろくて耐えられずに大人買いしたSF超大作『イムリ』しか知らないのですが
三宅乱丈さん……ギャグも描いていらっしゃったってマジかよ……
脳内が宇宙なのかな。そんなの、BUMP OF CHICKENの藤くんじゃんか。すごい。と思います。

好きな表紙なので2巻のリンクです。

『イムリ』はSF超大作なのですが、なんだろう……SF冒険ファンタジージュブナイル?
要素てんこ盛りにし過ぎたけど、そんな感じの作品です。
圧倒的です。
三宅乱丈さんは本当にすごい。
これもぜひアニメ化して欲しいのですが、25巻まで出ていて(2020年2月現在)、まだ完結していません。
もうすぐしそうなので、多分26巻か、そうでなくとも27巻では完結していると思うのですが、アニメにするには長いかな……。

電子書籍で買ったのですが、ものすごい名作なのでいつか子どもにも手に取ってもらうべく、紙でも買っておこうか考え中です。
(たぶん買います)

三宅乱丈『pet』アニメの感想

原作ファンの中では、アニメ化に対して複雑な心境の方もいらっしゃるようです。
どハマりしていて今も心を掴まれ続けている『BANANA FISH』のアニメ化決定時ほどの数は見かけていないのですが、『pet』もめちゃくちゃ名作、原作があまりに素晴らしいので、「微妙」「原作が至高」「アニメで原作のイメージ崩さないで欲しい」みたいな不安になる人の気持ちは、わかってしまうような気がします。というか多分、わかる……

私は『BANANA FISH』アニメ化って聞いた時、正直最初は「マジかよ勘弁してくれよそっとしておいてくれ……」って思ったタイプの原作ファンです。
まぁ、1話のとあるアニオリシーン観て「最高、このアニメ化スタッフに最後まで絶対についていく」と決めた程度のちょろいファンでもあるわけですが……。多分あの感じなのではないかな、と。愛です。

でもアニメ化がなかったら私、『pet』という作品に、というか三宅乱丈という作家には多分、出会えていなかった。
出会えていたとしても、もっと時間がかかっていたということなんですよね。

だから、アニメ化されてよかった!
『pet』アニメ化ありがとう!!!!!!

の気持ちでいっぱいです。

あと、なんかいろいろを差し引いてもアニメ『pet』おもしろいです。
めちゃくちゃおもしろい。
原作よりも声や動きがついているぶんか、ちょっとウエットというか、肉感があるというか、生々しく感情が通っている心地がします。
(この感想、私『BANANA FISH』のときにも散々言ってた……)
ずっと原作ファンの人からしたら、そこでの違和感も強いかも。

私は好きです。

色がついたぶん、「ヤマ」の鮮やかさ、心地よさ、天上のような極楽のような、掛け替えのない圧倒的な素晴らしさは、より伝わりやすくなっているかもしれません。
「タニ」は地獄ですが。

あと、OP・EDがいいです。

OPは、TK From凛として時雨の『蝶の飛ぶ水槽』です。
タイトル……っ!!!!

EDは、眩暈SIRENの『image_____』
耳に残ります。

特にOPが好きです。司の口からゴポって気泡が出てくるところ……水に沈んでいく司……oh……

アニメは地上波でももちろんよいですし、見逃している方は、アマゾンのプライムビデオから観たらいいですよ。
追加料金なしで観られます。

ぜひ観てね!!!!

 

三宅乱丈『pet』ネタバレ感想

さて、以下は三宅乱丈『pet』の原作を5巻(=ラスト)まで読んでの感想です。
5巻まで読了していることを前提に、つまりネタバレへの配慮をせずに記載していきます。
「ネタバレ困る!」という人は、本記事はここでお別れです。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

「ネタバレ上等! あんたの感想聞かせてよ!」と言ってくださる方は、どうぞ続きへ。
ありがとうございます、ありがとうございます。

 

では、以下よりネタバレます。
長いし、言葉遣いが乱れる(「です・ます」と「だ・である」も入り乱れる)箇所が多いですが、許してください。

三宅乱丈『pet』 全体を通しての感想・1

やばくない? やばくないです?
展開で言ったら正直、絶望しかないじゃないですか。司……司、ずぅぅぅっと、ずぅぅぅっとがんばっていたのに、林さんの言葉に縋って生き延びてきたのに、その結果、林さんを潰さなければいられない心持ちになってしまって、潰してしまって。
ヒロキが一度助けてくれて、「しっぽがボロボロじゃないか……」ってなって、ホットケーキを作ってくれて。
そこで救われて立ち直れたらよかった。
でも、もう取り返しのつかないことをしてしまって、取り返しがつかないと気づいてしまったから、司も取り返しがつかなくなってしまった。
その司を、何をしてでも救おうとしたヒロキが、その状況を招いてしまった。

地獄!!!!!!

あまりにも地獄なのですが、その地獄の先であんなに美しい景色を見せるってどういうことなの。
あの場所に確かに林さんはいたし、悟と(司を通して)ヒロキは同じ景色を共有していたわけで、彼らはあの景色の中で、「一緒」になった。共有できるものがあって、完全な孤独ではなくなれてしまった。

取り戻す、と彼らは言う。
やり直しに似ている。
つまり彼らもまた林さんと同じような道を選んでいるのであって、でも林さんとは全然違う。
ひとりじゃないから。

地獄ではないし、その「先」のページを見ると、なんとさらなる地獄が待ち受けている可能性すら示唆されているのに、その地獄の可能性が「希望」でもあるという、この……。

地獄が希望って、何事??????

生きている、元々ヤマをもてないならもう一度与えて、もう一度ゼロからイメージを取り戻す、そんなことだってできるのでは?
「これまで」は司と林さんの中で全て無であっても、メイリンのそれは搾取されたものだったとしても、それでも「これから」はつくれるのでは。という、希望。
残酷だけど、前途は暗いばかりではない。
すごい……すごい作品ですね……。

「会社」の庭で屈託なく笑う司の表情が、本当に可愛らしくて胸が痛いです。
司……司は本当にいい子、やさしい子なんだよな…… いっぱい考えて、考えて考えてがんばって、しかし、やり直すことも取り戻すことも失敗してしまった子。不器用すぎて愛おしい。

彼には償いが必要だが、しかし彼の努力、これまでの人生も報われて欲しいよ……。

三宅乱丈『pet』 1巻の感想

P19
「風はどこでも行けるんだ」「キミだってそうなんだよ」と、林さんが悟に告げるシーン。
「イメージ」というのがどういう力なのかを語っているのですが、これ、ラストで悟が悟る内容SONOMONOなんですよね。グッとくるし、痺れる。
冒頭がラストと呼応してるって、構成が神過ぎないか。
すごい。

P88
「もう大丈夫ですよ」「怖い思いなんてもうたくさんですよね?」「安心してぐっすり眠りたいですよね?」「ぐっすり眠れば今日あったことは全部なかったことになりますよ」と、司が告げているシーン。
司……司……
これは”司の帰結”との呼応ですね。構成が神過ぎないか。(2回目)

P115
記憶が噛み合わなくなるとどうなるのかがもう示されているし、その「噛み合わせ」のバランス・ルールについて熟知しているのが司である点が明示されていて、うわぁっとなる。
そこからの「ヒロキならうまくやれます」「潰さずに記憶を変えられます」という司のセリフ。
それを聞いて嬉しそうなヒロキの表情。
そうですね、これも”司の帰結”に至る道筋との呼応ですね。構成が神過ぎないか。(3回目)

P119
司の1コマ目の表情がかわいい。司、こんな表情もできたんだ……とびっくりします。注目してください。

P192
「あの人ってほら人に好かれるなんてこと滅多にないような人なモンだから」
好かれることがない、どころか……
彼は愛を本当は知っている。知っている、ということを誰も、本人さえわかっていないという……ままならなさ……

1巻は、司が平静な顔でヒロキを「手放すわけにはいかない便利なペット」として語っていて、うまいなぁーーーと思います。
読者的には「司の本性を見せられてしまった!」と思うわけだけど、実際はヒロキが思っている以上に、あまりにも深い情とヒロキへの配慮を持っているわけじゃないですか、司ってば。

おもしろいからズンズン、グングン読み進めてしまうけど、1巻は情報の宝庫だったなぁと思いました。

 

三宅乱丈『pet』 2巻の感想

P19
表情の含む情報量がヤバイ。
この後のやりとりや司のセリフ、また実際に林さんが「司にしたこと(できなかったこと)」を思うと、ちょっと「?」と疑問になってしまうくらいの表情。
司の笑顔があまりにも柔らかいのが印象的だが、林さんの堪えきれないような、こう、もう、どうしようもなくどうにもならないあの表情が、「?」どころか完全に正しかったことに
我々が気づくのはもっともっと後のことなんですよね……なんてこった。
林さんの手紙の内容との呼応箇所。繰り返すが、構成が神過ぎないか……(4回目)

P30
司の涙。
林さんからすれば「仕方のないこと」で、司を守るためにしていたことも多々あったのだけれど、そんなこと司は知らないわけで。
司からすれば、司は林さんに捨てられた存在だ。別の子どもと暮らすために、まだ子どもだった自分は捨てられた。自分ではなく、他の子どもを林さんは選んだ。そういう結果でしかないし、残念ながら、事実そうなので。

林さんの「失敗」は、ここで司の心のケアをできなかったこと。
司の想いより、「わからないのか?!」「俺は助けてやりたくてやってきたのに!」と、自分の感情の吐露を優先させてしまったこと。
そりゃないぜ、林さん……。
林さんは結局、かなり司に甘えてるんだよなぁと思います。捨ててしまったこともそう、ここでのケア後回しもそう。
司を林さんは救ったけど、林さんにとっては司こそが「救ってくれた人」でもあったわけで、縋りたい・自分を助けて欲しい(くれる)存在である、みたいなイメージがあったんだろうか。

P48
『pet』全話の中でも、かなりトップレベルで好きなシーンです。
司は過去をもう、簡単には拭い去れない。なぜなら人格があり、意思や記憶や感情があるから。
つまり、人間だから。
司はのちに、このとき林さんを理解できなかったこと、そうして逃げるという選択肢を持てなかったことを「なぜ?!」と自分に疑問として突きつけるけれど、でも、だって司くんは人間なので。
司にもっと人間らしい感情がなければ、事態はもしかしたらうまく運んでいたかもしれない。
でも司は人間で、司をそうやって人間にしてくれたのは林さん。林さんがくれたもの。
司が人間性を捨てなければ……大好きで大好きで仕方のない林さんからもらったものを手放せなければどうにもならなかったシーン。
つまりそう、もう詰んでいたわけですね。
ままならない悲しいシーンだけど、林さんがくれた人間らしさを大事にしている司くんが好きです。
林さんがくれたもの。奪われずに済んだものだから、そりゃ大事にしたいよね……。

P105
……からの、壮絶なタニでの「どうして俺の心配なんかしてるんです」のセリフ。
わっかんないかなーーー わっかんないんだろうなーーー
わかるわけないんですよね。「林さんが自分を本当に心配してくれているんだったら、そんなことするわけない」ということを、もうされ尽くしてしまっているので。
疲弊した精神では、わからないのでしょう…… しんどい……

P163
「しっぽが……ボロボロじゃないか……」「ありがとう……ヒロキ……」のシーン。
これ、原作でもめちゃくちゃ好きシーンなのですが、アニメもよかった。アニメも本当によかったですね!!
ヒロキが本当に大好き、最高、大好き! となったし、とっても嬉しい、これからはヒロキと「捨てられる不安」のない相棒関係を作っていけるのでは、と感じられる幸せなシーンです。
まぁ、そううまくはいかなかったわけですけどね……。
(そううまくはいかない、どうしても過去に引っ張られてしまって明るいところを選べない不器用さ、人間くさくて好きです)
(しんどい)

P175
司と悟の写真。どちらもいい顔していて、そうだよ状況さえ違えば兄弟子・弟弟子として(?)2人は仲良くやってたかもしれないんだよな、もちろんヒロキも一緒にさ、と、妄想広がるページでした。

P222
あの景色、あの言葉を、司も持っていた。
司が最後まで持ち続けた最初の記憶は、悟の冒頭のそれとは違い、ラストに呼応するものにはなれなかった。潰えてしまった。
なんということだよ……。

P253
「俺のはアテになるんだよ!」の、論理性のないジャイアンっぷり、新鮮です。
からの、
「きっと全部やり直せるんだ!」
の流れが、なんかもう怖いです。のちに手紙で書かれていた「繰り返し」ということ。
こういうことですよね。
こわいよぅ……

ここまででお気づきの方、多いかと思いますが、司くんが推しです。

三宅乱丈『pet』 3巻の感想

P70
「自分はどうしたいのか考えてみたっていいんじゃないかって思うんだけどな」というジンのセリフ。
自分で考えること、そうして自分の在り方を他人に委ねてしまわないこと。
『pet』のテーマのひとつな気がします。『イムリ』にもそういうところありますね。
P106あたりの悟とヒロキの会話でも「そういうこと考えてたらやれるワケねーだろっ!?」というセリフが出てきます。
考えたらできない。
考えたら(林さんのこと考えてつらすぎて)やっていけない。
だから考えない。
思考を停止させることと生存とがちょっと強く結びついてしまっていて、でも結局は、その思考停止がよりしんどい状況をうむ、という……。
好きです。

P80
「悟はメイリンに優しくしてやんなきゃいけないんだよ!」「だってメイリンの『ヤマ』ってさぁ!!」「元が林さんの『ヤマ』だからなぁ!!」の下り。
この一連のセリフ、全部司にブーメランすぎてしんどいですね。
そして、こんなにニコニコ楽しそうに悪巧みしているのに、次のページではあれですよ。
司がいかに限界のところにいるか、こんな……こんな……つらい。

P133
「ラッキーだよな悟は……」「潰されちまえば絶対に戻ってこない人間を待ち続けるなんてことしないで済むんだからな」の司のセリフ。
おいおいおいおいおいおいおいおい 振り? 振りなの?
帰ってこないだろうとどこかで思いつつ待ち続けていた幼い司を思うと胸が痛いし、それをラッキーと本当に思っていることが伝わるし、
でもこの時点では、司は本当には自分もそうなろうとは思ってもいなくて、ヒロキと生きていこうとしている。
林さんにされて悲しかったことを、ヒロキには絶対にしない、と決めているのが、ここまでの司の言動でわかる。
それくらい悲しかったし、それくらい司の内面化してしまった孤独が深い。
たとえ潰れていたとしても、ヒロキのところに帰る。絶対にヒロキをひとりにしない、と決めていたこととか。
司にとっては、相手が自分の近くにいてくれるということが何よりも大事だったのですね。その人格の有無よりも。
それは「本当には相手を欲していない」とも読めるし、「人格がなくなってさえ、相手の価値が変わらない」とも読める。
4巻P163の、並んで椅子に座る林さんとヒロキのコマあたりからも伝わる。
たぶん、両方なのだろうな……。

P193
「考えちゃダメなんだよ」のセリフを超えて、考えずにはいられない状況になってしまった。
「考える」という行為の重要性が詰まっている展開。
ラストはあぁだけど、考えることを始めたヒロキはかっこいいし、成長したし、司を「救った」部分もあった。
だって、司のもとに帰ったのだから。

P242
林さんが生きている、と知ったときの司の心からの、隠しきれない感情の発露がしんどい。
そんなんになるのにあんなことしちゃったの、本当に展開が残酷すぎて酷い。酷い。(すばらしいです)
でももう「潰れ切った」ことを聞いて、色を失って、からの、「レジに盗聴器が」と一瞬で切り替える様子がまた……。
そうやって切り替えられないと生きていけない環境に、司はずっと身を置いてきたのだろうな。ということが伺えて、さらなるしんどさに襲われた下りでした。
はーーーしんどい。

 

三宅乱丈『pet』 4巻の感想

そろそろページに印つけるのすらしんどい展開になってきています。

P20
間違った、ということを認められない司。
「会社にいて、生き延びる」ことだけが林さんとまた会える可能性で、それを司にさせたのは他ならぬ林さんだったからこそ、本当に「逃げる」なんてできないのが当たり前だし、それだけはしてはいけないことだったんだろうな。
会社からあんなに搾取され続けて、本当は司こそがずっと「逃げたい」って感じていたはずで、でもそれだけは選ばない、選べないでここまできた。全ては林さんのために。
だからこそ、ますます、林さんと逃げるなんて選べなかったし、林さんが逃げたということが認められなかったし、許せなかったのだろうと思いました。
学習性無力症? みたいな?
不器用な子……。

P89
桂木がジンから「苦手」って言われていて可哀想……

P257
「やり直したい」という林さんの言葉。
それがどれほどのものなのかが明るみになる。林さん、間違いなくイケメンだし、「親」だし、良心の塊ですばらしいな……。
一方、司との会話でも感じたが、林さんの言葉選びやそれを伝えるタイミングの拙さ、かなり致命的な気もします。自分の感情がまず優位にきてしまう類の幼さもある。
なまじ力があって、言葉がなくてもどうにかできてしまう(そっちの方が得意だから)こそ、こうなってしまうのだろうか。
思考すること、それをちゃんと口にして伝えることの重要性を思います。

P262
司がヒロキに「頼む」から、と伝える。
これはコミュニケーションで、拙いけれど、ちゃんと相互でやりとりしあって伝わっている。
2人が本当の意味で「双方向」になったのって、この時が初めてだったんじゃないだろうか。と思いました。

……この表紙の桂木さん、松田龍平さんみたいでめちゃくちゃイケメンですね!

三宅乱丈『pet』 5巻の感想

この巻はあまりにも語れることが少ないのですが、とりあえず表紙が林さんで、こんなにも明るく穏やかな場所で微笑む林さんなのはズルイ。という感想です。
林さん……私、最初に推したいと思ったのはあなたでしたよ……。

司が「ヒロキには助けられてばかりだ」というの、ヒロキには伝わり切ってはいなかったのだと思う。
「ありがとう」「いつも助けてもらってばかりだな」を、まるで謝罪や罪を告げるかのように言ったのは、悟が言う様に、司自身も自分があぁなるとわかっていて、それをヒロキにさせてしまうことからきているものなんだろうか。
半々くらいで、ちょっとまだ私の中では判断がついていません。
司自身も、半分は「これがうまくいったらヒロキと生きていく」と思っていて、もう半分では「自分は多分潰れる、潰させてしまってごめん」と思っている。くらいの感じかも?

1巻の感想の部分でも書いたけど、1巻での司とヒロキとのやりとりと同じ構図で、でもあの時とは全く違うものになってしまったこと。
構成が……すごいね もうこわいくらいだよ……(大好きです)

林さんのことがどうしても拭い去れなくて、あぁなってしまったけれど
ヒロキの存在がいかに大きくて、いかに司の救いになっていたか。大事にしようと苦心し、そうしてきていたかが、まざまざと伝わってしまう。

つらい仕事は全部自分がやる。そうやって守ってきたから、事実、ヒロキはあんなに”健康”に育てた。

「ヤマだけは侵させない」ために鍵を頑丈にしてきた司。誰にとってもそうなのだろうけれど、とりわけ司には、林さんからもらったヤマが全てだったのだろうな。
それ以外は搾取されて使われてばかりだったし、自由で安心していられるのはヤマだけだったから、ヤマしかなかったから、それだけは守っていないと人間としていられなかったのだろう。
つら。
心の鍵を「誰かに開けてもらうこと」なんて考えなかった、と司は言うけれど、確かに、そういう機会が訪れるのは奇跡的なことなのだとも思う。
それほど深く許せる相手、出会える人なんてそうそういないんじゃないか。

そういえば桂木とレンレンは、出会えたケースなのだろうな。
桂木、嫌なやつだけど憎みきれない、とか思っていたらお前……憎めるワケない。幸せになって欲しかったな。
いや、幸せはあったのか。
ジンさん……ジンさんもつらい。

 

三宅乱丈『pet』 全体を通しての感想・2

これ、初期構想でいうところの3部作中の第二部にあたるんですって?
(1部は桂木とレンレンの話で、2部と合体してしまったそう)

はやく3部をください!!!!!!

これ、リマスター版ではない方から読んでいる方とか、どれだけ……どれだけ続きを待ち望んでいることか……
早く3部に出会えますように。

 

以上です!

 

<<今日のtips>>

三宅乱丈『pet』は、人生を揺るがす名作。揺るがされたい人は必読です!!!!

ここまで読んでいただいて、ありがとうございました!
三宅乱丈『pet』ぜひ読んでね!!!!!!!!

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