《おすすめBL》『gift』(一ノ瀬ゆま)感想

本のtips
スポンサーリンク

2018年は『BANANA FISH』(吉田秋生)にどハマりしていたのですが、あまりにも最高of最高でしんどすぎたおかげで、いろいろと書き物もしていました。

で、そうやってアウトプットを増やしていると、不思議なことにインプットも増やしたくなるもので
小説・漫画・学術書的なものも、いろいろと読む時間・意欲を持つことができました。

いつもは基本的に読んだら読みっぱなしなのですが、それももったいないかなと思ったので
中でもおすすめのものについてだけ、ちょっと記録していこうかなと思いました。
去年読んだものも、今年・これから読むものでも、おすすめがあれば。

いつまで続くかはわからないので、とりあえず気の向いたときだけ……・v・

本記事でおすすめするのは、『gift』(一ノ瀬ゆま)です。

『gift』(一ノ瀬ゆま)あらすじ

元ボクサーで今はコーチをしている主人公は、ある夜、美しく獰猛な獣のような若者に出会う。
その若者の素質に魅力を感じた主人公は、若者をボクシングに誘う。
主人公の誘いに素直にのったかのようにしてジムに現れた若者だが、その人間性には大きな欠陥があり、ゲイであることを理由に脅迫された主人公は、若者との”共犯”関係に陥ることになり……。

……という感じです。

一貫して絵が美しく、また心理描写が卓越しています。
ストーリーはある意味、ベタといえばベタなのかもしれません。が、それをこんな風に・ここまで描けるのがすごい、と思わせてくれる迫力があります。
後述しますが、とくに副主人公が人間性を取り戻していくにあたっての描写の完成度がとても高い。感動を覚えます。

なお本書は、全3巻で完結済みです。一気の読めるの、本当にしあわせです。ありがとうございます……!

『gift』の性描写について

あります。
きれいだし、しっかり描かれている方だとは思います。
副主人公の過去に関して、エグい描写もあります。が、ともかく絵がきれいなので、ストーリー的な意味でのしんどさはあるけれど、「無理みたくない」みたいなショックはないと思います。
描写や量としてはライトな方かと思われます。
「がっつりエロを見たい!」「ストーリーより今はともかくエロをよこせ!」という気分の場合は、物足りなさを覚えるかと思います。

『gift』(一ノ瀬ゆま)の、なにがすばらしいか

副主人公の心理描写が、すばらしいです。
外側と内側、内側でどのようなことがおきていて、どのような機序でどのように出力されるに至っているのか、それが過不足なく描写されています。

そこからの
2巻後半〜3巻、副主人公が”人間性”を取り戻すに至るまでの流れと、
それを取り戻していく過程・その様子の描かれ方が、大変に素晴らしいです。

『gift』はどうすばらしいのか

いわゆる「心の傷から感情を失った人間が、どのようにそれを取り戻すか」という描写なのですが
本人の描写ももとより
そのキャラクターの周囲にいる、その人間を大事に思う人のとる行動、描かれ方が卓越しています。
シンプルながら
ここまではっきりと明言されて描かれているものって、少ないんじゃないかなと思います。

たとえば

  • 涙を流すその人を思わず強く抱きしめる
  • 「お前が泣かないから俺が代わりに泣くんだ」
  • 「お前はもうこんなものにとらわれる必要はない」と言って被害者の”過去”の記録を焼く

などの、
周囲の人間の自慰でしかない、つまりは読者が「こうやって守って・助けてあげたい」というファンタジーが描かれることがありません。
上述したようなものって、被害者本人ではなく、その周囲にいる人間を甘やかして気持ちよくしてあげるためのファンタジー描写なんですよね。

そういう甘えが排除されています。

そして、主人公がそうした甘えた行動をとらずにいられることが、そのシーンに至るまでの主人公の性格や職業意識・プロ意識と絡めて、大変な説得力を持って描かれます。

すごいです。

『gift』は、こういうところに注目して読んでほしい

とにかく圧巻なのが上記の描写なので、そのシーン、そして
そこに至るまでの、歪みまくっているけれど切実な道のりを、じっくり読んでほしいなと思います。

あと、地味におすすめしたいのが「honto」の電子書籍で購入すること。

電子書籍版で購入すると、電子限定おまけがついているのですが
購入する書店によって、さらにそれぞれ別個のおまけがついているのです。

電子限定おまけ+電子書籍書店ごとのオリジナルおまけの、計2つのおまけがつく、ということです。

で、私はhontoで購入したのですが
このおまけが、とてもよかったのです。

本編の最後が、あの最高のワンカットで終わった。
にもかかわらず
honto限定おまけで、このシーンを入れてこのシーンでコミックを終わらせる、というのが「心底素晴らしい……!」と思わせられる内容でした。

日常ってあぁいうことだし、つまりそれでも生きていくっていうのはあぁいうことだし、それを一緒に選んでいけるのって素晴らしいし、こういうしんどい日常があることが救いだし……みたいなことを思って
胸がいっぱいで
終盤から、このおまけまでだけでも何度も読んで、何度もその尊さに情緒を不安定にさせたりしていました。

hontoバージョンのおまけは、これは本当に、全てのバージョンについているべきなんじゃないかなって思っています。
この挿話で終わるというのが、一番パーフェクトな形だという気がします。

以上です!

<今日のtips>

『gift』(一ノ瀬ゆま)は、人間性の喪失からの再生とそのために周囲の人間ができること・できないこと・してはいけないことが明示されている、稀有な名作。

お読みいただき、ありがとうございました*^^*

やまママ

気に入った、ワンコインでも投げ銭してやるぜ! と思ってくださった方は、コチラ(note)からチャリンとしていただけると、大変嬉しいです。

現物支給もめちゃくちゃ喜びます!

Amazonほしい物リストを一緒に編集しましょう

書いている人;やまママ
yamamamatips

川越の近所に住むフリーランス&書店員。若い人たちに性教育などする仕事をしていました。
通勤電車スキーな卵アレルギー持ち幼児を育てつつ、ゆるワーキングマザー生活を満喫中。

yamamamatipsをフォローする
本のtips
スポンサーリンク
この記事をシェアする
yamamamatipsをフォローする
*・。・*ほしいものリスト公開中*・。・*
プレゼントください。大変に喜びます!
励みと糧になります。ありがとうございます。
やまママtips

コメント